2023/06/22 12:49

どうもみなさんおはこんばんにちは。

店主でございます。

表題の件、今回はとても長いブログになりますので
興味のある方は是非お読み頂ければ幸いです。
多少赤裸々な表現もあるかもです。
ネットショップという性質を持つ当店でも根本的には、僕という人間を知って頂いて
まるで店で店主と身の上話をした時のような感覚で買い物をしてもらいたい、そんな願望が有ります。
それが当店の長々とした商品説明文やこういったブログであるという事をご理解下さい。

まぁそんなこんなで始めます。
「BLACK IVY」
JASON JULES/GRAHAM MARSH著の1冊の本が僕の背中を押してくれました。

まず少し前の話をしましょう。
私は今年の3月に酒を飲み過ぎた事で自損事故を起こしました。
改めてその際にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
毎日のように理由を付けて酒を飲み、時には自分をコントロールできないぐらいの量を。
20代の頃から年に何回かは必ず失敗をし、その都度反省をしてもまた懲りずに酒を飲んでいました。
ストレス発散と言うと聞こえはいいですが依存症の一歩手前まできていたと思います。
今になってみれば【DRUNK】と名乗ることでそれらを肯定し有耶無耶にしていただけでした。
事故の傷は心と体に残りました。これは癒えなくて良い傷だと今では理解しています。
そして目に見える傷が癒えるまでの時間は、自分についてと家族について、それから将来について
深く考えるとても貴重な時間でした。
今現在基本は酒は飲みません。普段会えない家族と一緒にいる時以外は一切飲まないです。

ストリートやクラブカルチャー、流行りのファッション、自分が追い求めていたものは
自分が50歳60歳70歳まで生業にする自信は無くなっていました。
夜中に酒を浴びるように飲み、大音量の音楽に揺れることを現実逃避に感じました。
同時に毎年のようにプリントを施し消費していくアパレルを生み出す行為や
インスタントなファッションの関わり方にも疑問を感じ
自分の子供に胸を張って誇れるかも疑問に感じてしまいました。
僕自身がやりたいことはファッションを生業にする事です。
そこに今の時代に沿ったリサイクル指向も相まって今の業態が有ります。
4周年になる直前に、毎年ただ消費される物を作る事や
自分でも良く言うノリやテイストで物を作る事に恐怖を感じてしまいました。

自分自身と向き合って、残っていたのは服への愛でした。
沢山の服を着倒し手放してきたクローゼットにずっと残っていたのはボロボロになったSouthwickのスーツと
もうすぐ履き続けて20年近くになるAldenのシューズでした。

スチャダラパーを聞いてラップを始めた少年はヒップホップカルチャーが日常となり
アメリカの服を日本に輸入することでスタートした洋服屋に勤める事で
アメリカへの憧れを強く持つようになりました。
その時に着ていた洋服達は今見ても、ボロボロでも、光輝いて見えて
久々に袖を通してみるとスーツの裏地は破れていてボールペンの跡で黒く汚れていました。
ボタンダウンシャツは袖口や襟元が擦り切れてほつれています。
それでも強い形を保っていて、そこに洋服のパワーみたいな物を感じたのです。

その時にネットで欲しいと思って先送りにしていた「BLACK IVY」を思い出し
直ぐに手配して手に取りました。

そこには自分が探し求めていたスタイルが存在していました。
「ルールはない」中でどうやって自分を表現するか
自分に課していたルールを見直してみました。
いつの間にか自分のファッションは自分を表現する事よりも
誰にどうみられるか、どう思われたいか、そんな事で構成されていたことに気が付きます。
このままではいけない。クローゼットは楽に着れるものでいっぱいになっています。

店で扱うものに反映させる前に自分の身の回りを整理しました。
Tシャツでスタイリングを完結させすぎないようにしたり
シャツを着てネクタイを締めて仕事をしてみたり
テーラードジャケットを着て革靴を履いて、あの頃の感覚を取り戻しにかかりました。

「BLACK IVY」について話しましょう。
アイビーは白人だけの物ではなかったのです。
勿論以前当店でも取り扱っていた
「TAKE IVY」
は日本人によるアイビーの著書ですので
アイビースタイルは最早世界的なファッションと言えます。
文化的な成り立ちはWASP(White Angro-Saxon Protestant)によるものですが
ファッションのスタイルとしては現代ではどんな人種かによって縛ることは出来ません。
「白人の真似では無く黒人が作り出したアイビースタイルも存在している」
そういった事が歴史や時代背景に基づいて写真と文章で紹介されています。

そこで自分にとってのアイビースタイルは何なのか考えました。
ブラックミュージックに傾倒しトラッドスタイルを学んだ自分は
ある種のBLACK IVYが提案できるのではないか。そんな考えに至ったのです。

自分はお洒落をするのが好きです。ファッションはお洒落をしてなんぼ。
40代、世間的にはいい歳です。Tシャツに短パンの楽なスタイルは散々やってきました。
もうこのスタイルは終わりにしよう。そう決心しました。
50代になってもその時の流行りのプリントTにスニーカーで恰好を付けるのは
自分的には限界です。60代70代、流行りを追い、若い子達のスタイルをいつまで追えばいいのでしょうか。
そんな事を考えると今この時がいいタイミングだと感じました。
自分は変わるべきだと。それによって店も生業の内容も修正すべきだと。

「BLACK IVY」は今回の象徴的な物でした。
あくまできっかけですが、僕の背中を強く押してくれました。
誰かの真似では無く自分が表現するアイビースタイル。
今後の店の商品構成は少しずつトラッドでアイビーな視点が増えてくる予定です。
ヒップホップ的な視点での色合わせやアイテムのチョイスと
アイビーでトラッドなスタイリングの基本。
これらをミックスした内容を目指していきます。
勿論アメリカンでカジュアルな今まで通りの古着は忘れずにですが。

時代は流れています。
今ストリート一辺倒の高級メゾンも
急な方向転換をする事があるかもしれません。
大事なのはハードコアである事。
自分の内にある本当の自分をキチンとさらけ出す事。
今回それがようやく出来たように思えます。

少しずつアップデートしていく予定ですので
今後もチェックして頂ければ幸いです。


ヒップホップアーティストでBLACK IVY的な視点を持つ一人であるAndre3000のバースが特に素晴らしい。
今年の個人的なベストは今んところコレです◎◎◎